厚生年金基金と厚生年金って何が違うの?



厚生年金基金とは

 

 

さて、厚生年金基金です。そもそも「基金」という言葉がついているわけですが、これはどういう意味か。基金とは、ある目的に向けて積み立てなどをして準備し資金のことで。つまり、厚生年金基金では、企業が従業員の老後に向けて基金を設立し、老後生活の安定化を狙っています。

 

一般的に企業年金と呼ばれているものがこれです。国民年金の場合は、基礎年金と呼ばれ「1階目の部分」と表現されます。厚生年金は、その上に上乗せする「2階目の部分」となります。そして厚生年金基金は、さらにその上の「3階目の部分」ということになります。

 

厚生年金の加入については、会社に勤めている場合は加入する義務がありますが、厚生年金基金の場合は事業主となる会社がこの基金に加入しているかどうかで決まってきます。

 

掛金は厚生年金と同じで、被保険者と企業の折半になります。企業側の負担を増やす場合もあります。折半の部分は、厚生年金に加えて上乗せ部分を更に会社が負担してくれるので、言ってみればメリットの一つにもなります。あくまでも厚生年金基金は私的年金ですから、より多くの年金を受け取ることができるようになります。

 

しかし、2014年4月に改正厚生年金保険法が施行されています。正式には、「公的年金制度の健全性及び信頼性確保のための厚生年金保険法の一部を改正する法律」です。

 

この背景には「代行割れ」があります。代行割れとは、年金資金総額が、給付必要額よりも割り込んでしまう状態のことを言います。厚生年金基金は、厚生年金の一部を国に変わって代行しているのですが、資金の運用が実際には上手くいかずに、基金運営の安全性が危ぶまれている状態になっているのです。そのため、代行割れの基金については、特例解散制度によって5年以内の解散を促すことにしたのです。

 

代行割れをしていない基金は、存続するか、代行返上か基金を解散して、他の制度に移行することになっています。ただし、10年経過後に厚生年金基金を全廃することも検討されているので、これは重大です。